Twitterが怖いのはそこだけじゃないぜ

少なくとも私にはtwitterは弱者の味方とも、少数派の味方とも思えない。

http://d.hatena.ne.jp/what_a_dude/20100528/1275039006

Twitterに対する批判論が最近また活気づいていますが、僕がTwitterを怖いと思う理由もいくつかございまして。というのも、さんざん言われ続けているので改めて描く必要もないかと思ったのですが、技術面と環境面の両者から論じている記事があまりなかったので補足。

まず、現在のTwitterについてちょっとだけまとめ。Twitterは、いまや一つのネットサービスを超えて、ひとつの巨大なインフラとして我々の前に現前しているように思います。「卒業と同時にmixiに入って終わらない文化祭前夜を過ごす、それがmixiというツールだ」と僕は数年前に書きましたが、Twitterはもはや「終わらないコミュニケーションを楽しむための、ひとつのインフラ」です。また、Twitterとは、従来から言われている通り、自分だけの情報収集ツールでもあります。ボットやプログラムもフォローしておけば、目の前に広がるのは自分だけのお気に入り空間です。「リスト」機能を使うことで、それを多重的・階層的に行うこともできるようになりました。ここで重要なのは、Twitterは巨大なパブリック空間において切り離されたプライベート空間を作るものであるということ。もちろん、「プライベート」と思わせてしまうところに第一の「バグ」があるのですが。

しかし、その「インフラ」としてのTwitterは、セキュリティ的に脆弱です。認証にバグがあるとかそういう問題ではなく、この「Twitterは切り離されたプライベート空間を作るものである」という、Twitterの概念を自らの力で大幅に捻じ曲げてしまうのです。

その例が、「ChirpUserStreams」と呼ばれるAPIです。これはfollowingのtweetがどんどんpushされてくるというものなのですが、それだけではなく、「●●が●●をfavoriteに入れたよ」「●●が●●っていう発言をdeleteしたよ」等の情報も入ってくる。これは大きな倫理的欠陥である、と小池氏もhttp://ssig33.com/blog/2010-04-25-1.htmlで述べています。

2. 倫理面の問題
delete が流れてくるのはどう考えてもおかしい。先述の仕様バグも含め、 firehose をそのままユーザー向けに移植していることが原因と思われる。 firehose であれば delete を API の利用者にリアルタイムで反映してもらう必要があるが、ユーザークライアントでそれをする必要は無いはず。仕様バグの方は firehose ユーザーはそれまでの全発言を持っているので問題無い、ということになる。

こんなものが流れてきても得をするのはネットストーカーだけだ。

http://ssig33.com/blog/2010-04-25-1.html

Twitterはプライベートな空間であった。しかし、そのプライベートだと思っている空間をのぞき見されているとしたら? 最初から「他人のタイムラインものぞき見できる(事実、Twitterは初期はそうであった)」というようなこと、つまりTwitterにはプライベート空間など存在しないことが分っていれば問題ないが、Twitterには一定のプライベート空間があると信じ込んでいる人たちがたくさんいる現状でそのようなことが発生した時、人々はどう考えるだろう? ――もはやTwitterを辞めても、その情報はGoogleに捕捉され続けると言うのに、何が出来るというのだ。

Twitterに「プライベート」は存在しない。やましいことはTwitterでもしてはいけません!